水彩画家 東富有 雪景色を水彩画で描く
白銀の世界、時が止まったような静けさに、雪がしんしんと降り積もる。日本古来の懐かしい心象風景が私たちの童心を揺さぶり、改めて絵画の持つ力を感じる一枚である。
鉛筆で下書きをしない姿はとてもかっこ良い。師匠の高いデッサン力を感じ、自分にはできるのかと考えさせられた。
空・湖と描いていき、画面が乾かないうちに雪の結晶を描写する。
雪の結晶を描写する方法は「塩」を使う。塩は画面が湿っている時にまぶすと、周りの絵の具と水分を吸収してくれるため、白くなる。コツは画面の湿り具合である。湿りすぎも、乾きすぎも効果があまり出ないため、ちょうど良さが大切さである。
拡大すると塩の感じがみてとれるだろう。画面が完全に乾いたら、ティッシュや手でパラパラと取れる。
雪の白さを表現するためには、雪の周りのモチーフの存在が大切である。そのモチーフを暗くすることで、対比によって雪の白さが浮き立つ。
雪の暗部を描くことによって、積もる雪の立体感を表現する。暗部の色も大切である。
父の「冬の世界」の作品を見て、水彩画の難しさ、また水彩画を描く意義について考えさせられた。水彩画は難しいからこそ挑戦し、成功したその先には、人の心を動かす力を持っている。水の量により、自然に絵の具がぼかされることで生まれる透明感のある世界が、私たちの心を癒しくれる。私は再度、これからの努力する行き先が見えたような気がした。
(『冬の世界』10号 作品:東富有 / 文:東有達)
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